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-   烏梅について  -

烏梅は約1400年前に遣隋使、遣唐使により薬として奈良に伝えられ、その後、紅花染めや化粧用の口紅の媒染剤としても使用されました。最盛期には月ヶ瀬地域で400軒以上もの烏梅農家がありましたが、明治以降、化学染料の普及により烏梅の需要は激減。戦後、烏梅造りを営む最後の一軒となりました。

 

現在は、伝統技法を守る数少ない染色家のみが烏梅を媒染料として、手間暇をかけて染色を行っております。特に、烏梅を媒染料とした紅の色は鮮やかで美しく、化学染料では出すことができない色と言われています。

また伝統的な薬膳茶として多くの方にご利用いただいています。

 

伝統技法を守り美しい色を染める染色家の思いを大切に、そして「天神さんをお祀りするつもりで、売れても売れなくても梅を焼け」という口伝のもと、最後の一軒になろうとも烏梅を焼き続けています。
 

薬膳烏梅茶 ~烏梅の飲み方~

煎じる場合

1粒に対して300ccの水を入れて鍋で煎じてください。

沸騰してから5分が目安です。酸味のお好みで煮出し時間を調節してください。

2~3煎可能です。

水出し

1粒に対して1ℓの水を入れて、冷蔵庫で24時間浸してください。

 

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             紅を支えた月ヶ瀬の烏梅づくり

 

 奈良県の北東に位置する月ヶ瀬梅林は江戸時代の儒学者頼山陽が『和州(大和)の香世界を観るに非ずんば、人生何ぞ梅花を説くべけんや』と称賛し、多くの文人墨客が訪れるようになったという梅の名所。幕末以降明治大正と多くの観光客が来村し、毎年春には道列をなした。満開の梅の香りと五月川の深い渓谷を見おろす絶景は今日なお人々を魅了し、毎年20万人近い観光客を迎える。大正11年には国の名勝第1号に指定され、令和4年には名勝指定100周年となる。月ヶ瀬梅林の歴史は古く、元久2(1205)年に真福寺境内にあった天神社に祭神菅原道真公をお祀りしたときに梅の木を植えたのが始まりという言い伝えがある。この梅林、実は観賞用として植えられたものではない。烏梅を作るために植えられたものである。

 烏梅とは完熟した梅を燻蒸して乾燥させたもの。正徳3(1713)年刊行の百科事典『和漢三才図会』では烏梅に「布須倍牟女」(ふすべうめ)と説明し、製造法を記載している。烏梅は遣隋使が薬として日本に伝えたのが最初とされ、万葉集にも登場する。『延喜式』の中には烏梅丸の名が見え、妙薬として用いられた。また、烏梅は紅花染めやお化粧用の紅をつくる時の媒染剤としても利用された。烏梅の水溶液が紅を定着させ、色鮮やかに発色させる役割を果たす。

 月ヶ瀬梅林に烏梅が伝えられたのは南北朝時代のこと。元弘元年(1331)、後醍醐天皇が敗戦落城のおり、近侍の女官達がこの地に逃れた。そのうちの一人、園生姫が月ヶ瀬の梅を見て、助けてもらったお礼に烏梅の製法を伝えた。村人達は教えられた通りに烏梅を京の都に送ると大変高値で米より収入が良かった。人々は競って梅を植え烏梅づくりに精を出したという。

 紅の輝きを支え、貴重な収入源として村の経済を支えた烏梅も、明治以降に西洋から安価で手間の少ない化学染料が輸入されると需要は激減した。烏梅を生産する農家も次々と養蚕や製茶業へ転身せざるを得なく、戦後には1軒のみとなってしまった。

戦中、戦後の食糧難の厳しい時代には、これを作っていても良いのだろうかと自問自答し、葛藤しながらも守られた烏梅。昔ながらのやり方を守ること、伝統製法にはきっと意味があり、そこに価値があるのだと思う。「生涯ここで暮らすなら烏梅を忘れるな。売れても売れなくても梅を焼け。天神様が守ってくれる。先祖からの言い伝えだ。」という教えを大切に。これからも。

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​2023年8月25日 NHK『えぇトコ』 テレビ

2023年8月24日 ​NHK『えぇトコ』 テレビ
2023年4月29日 テレビ朝日『ナニコレ珍百景』 テレビ

2023年4月28日 KBS京都ラジオ 『山田啓二のローカルフィット』 ラジオ
2023年3月7日   毎日新聞『古来の実 烏梅茶、口紅に』 新聞
2023年3月4日   NHK『ほっと関西サタデー』テレビ
2023年3月3日   NHK『ならナビ』 テレビ
2023年2月27日     毎日新聞『伝統守る烏梅職人の挑戦』 新聞

2022年11月17日   NHK『えぇトコスペシャル 関西ふるさとの味100』 テレビ

2022年11月4日 NHK『きん5時』 テレビ

2022年10月30日   NHK BS1『ええとこ』 テレビ

2022年10月6日 NHK『ええとこ総集編』 テレビ

2022年10月    柴田書店『日本の伝統食品』 書籍

2022年9月28日 NHKラジオ第1『関西ラジオワイド』 ラジオ

2022年9月26日     NHK『ほっと関西』 テレビ

2022年9月15日 NHK『ならナビ』 テレビ

2022年9月8日   NHK『ええとこ』 テレビ

2022年9月13日 映画『紅花の守人』 映画

2022年5月20日 朝日新聞 『烏梅 最後の農家の挑戦』 新聞

2022年3月28日 BS朝日『暦に集う』 テレビ

2022年3月   日刊工業新聞社『天然染料と衣服』青木正明著 書籍

2022年1月1日    なら市民だより

2021年3月23日  BS TBS『奈良ふしぎ旅図鑑』 テレビ

2021年10月17日    テレビ朝日『ナニコレ珍百景』 テレビ

2021年9月~  映画『紅花の守人』 映画

2021年7月   読売新聞『黒が生む 紅染め鮮やか』 新聞
2021年3月25日  NHK BSプレミアム『うちのエリアの日本一』 テレビ

2021年2月   きものサロン 雑誌

2020年7月   チルチンびと 雑誌

2020年7月   KCNケーブルテレビ ならいち研究所 テレビ

2020年7月   テレビ朝日『ナニコレ珍百景』 テレビ

2020年3月   奈良テレビ『ならフライデー9』 テレビ

2020年2月   新典社『大伴旅人』辰巳正明著 書籍

2019年8月   読売新聞『伝統のもの作り 梅で体験』 新聞

2019年8月   TBS『世界ふしぎ発見』 テレビ

2019年7月   テレビ朝日『ナニコレ珍百景』 テレビ

2019年3月   月刊なら 雑誌

2019年3月   三重テレビ『伊勢美しい国』 テレビ

2019年3月   NHK『あさいち』 テレビ

2019年3月   小学館『最後の職人物語』彬子女王 書籍

2018年11月     NHK BS『COOL JAPAN  発掘かっこいい日本市場』 テレビ
2018年7月   セブンイレブン財団『会報誌』 雑誌

2018年7月   テレビ東京『所さんの学校では教えてくれないそこんところ』 テレビ

2018年7月   朝日放送『一志相伝』 テレビ

2018年3月   奈良テレビ『ゆうドキッ』 テレビ

​2017年7月   テレビ東京『和風総本家』 テレビ

2017年7月   NHK BS『失われた色を求めて』 テレビ

2016年7月   NHK『ぐるかん』 テレビ

2016年7月   NHK『ならコレ』 テレビ

2014年7月   東京工芸大学『紅』 映画

2014年7月   小学館『和楽』 雑誌

2014年2月   産経新聞『なら再発見』 新聞

​2013年7月   NHK『赤とRougr(ルージュ)』 テレビ

1980年代     中京テレビ『ワザあり!にっぽん』 テレビ

1980年代     関西テレビ『痛快!エブリデイ』 テレビ

1982年7月   奈良民族博物館映像資料『大和の伝承技術 烏梅』 映画

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